2014年御翼7月号その2

暴行事件を起こして「警察幹部の回心」山岡光一(仮名)

 

 「百万人の福音」二〇〇六年十一月号に、「不祥事警官逮捕 その痛恨と回心」という記事が載っている。
 警察学校で教官をしていた山岡光一(仮名)は、その日も無事に仕事を終えて、かつての同僚との飲み会に行く。明け方、酔っぱらっての帰り道、一人歩いてきた女性に抱きついてしまう。山岡さんは、「暴行罪」で現行犯逮捕され、警察本部の留置場に入れられ、悔やんでも悔やみきれず、「死にたい」「消えたい」と思った。留置場で山岡さんは、かつて反社会的勢力に所属して、後に牧師となった人が書いた本を勧められて読むと、人生をやり直すことができる「教会」というものに興味を持つ。その後、起訴され拘置所に行くと、親類の知人だという牧師が聖書を差し入れてくれた。数か月後、「懲役二年、執行猶予三年」の判決が出て、山岡さんはその日に釈放された。
 実家では両親に温かく迎えられるが、父も母も責任を感じ、思い悩み、心労のせいか、しばらくして父は他界する。山岡さんは、自責の念とともに、悲しみの連続であった。「思えば私は、すべてを失いました。仕事を失いました。地位・名誉を失いました。新築一戸建ての家を失いました。新車を失いました。友を失いました。信頼を失いました。二人の息子たちをはじめ、家族を失いました。過去を失いました。そうです、すべてを失いました。何もやる気のない日々……」と記している。
 ある時、留置場で読んだ牧師の教会を探し当てて行ってみた。牧師は聖書を開き、様々な話しをしてくれた。「驚きの連続でした。イエス・キリストを知りました。一時は、人生はもう終わった、死んだほうがましかもしれないと思っていました。世間の人からは、私は邪魔で汚い存在だと思われ、嫌われているために、私は消えなければならない存在だと思っていました。それが、イエスさまと出会って変わりました。福音が私に迫ってきたのです」と山岡さんは言う。
 「わたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしません」(ヨハネ一
 四・一八)「子よ。あなたの罪は赦されました」(マルコ二・五)これらの御言葉を受け入れ、一年後、山岡さんは洗礼を受けた。永遠のいのちを得た山岡さんは、かつての地位・名誉・権力欲の肉欲ではなく、御霊によって、真理の道を歩くようになった。「罪赦された喜びを、私は永遠に忘れないでしょう。主にあって、生き返ったのです。もちろん、未完成です。試練が私を完成へと導いてくれるのでしょう。すべて、主のみわざです」と記事を山岡さんは結んでいる。
 山岡さんの隣人となったのは元反社会的勢力の牧師であった。そして、山岡さんは、今学期からカ神大日本校修士課程に入学されている。かつて、所属していた団体で経歴を知られたとたんに冷たくされた経験があったそうだが、悔い改め、酒も飲まなくなった山岡さんを、私たちは大歓迎した。

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